三区祇園の神紋について
三区祇園の神紋
これは三区祇園の神社のお神札です。
では、紋の部分を拡大してみましょう。
(以下、この紋を他の紋と比較するため、三区祇園守と呼ぶ事にします。)
お神札の紋を分析してみる。
ベースとなっているのは
守紋(まもりもん)=祇園守です。三区祇園守は守紋の中央に左二つ巴が
アレンジしてあります。(下記画像参照)
祇園守 左二つ巴
では、この画像を合成し、三区の紋と比べてみましょう。
祇園守に二つ巴(合成) 三区祇園守
どうやら、三区祇園守は階調が反転しています。
紋の世界では、こういう風に階調が反転しているものを「陰」と呼びます。
それでは祇園守(合成)を反転させてみます。
反転
反転させたものを丸く切り取った画像と三区祇園守とを比較してみます。
まさにお神札に描かれている紋と同じになりました。今回作製したもので家紋風に名前をつけるとすると、「陰祇園守に左二つ巴」となるのでしょうか。
しかし、三区の紋は陰の紋様ではなく、通常の形だとする意見もあります。
どの紋様が三区の紋様であるのか、もう少し詳細な検証が必要なようです。
紋の意味
紋に描かれている模様にはそれぞれ意味があります。
ここでは、その意味について検証していきたいと思います。
それでは始めにそれぞれのパーツに分類してみます。
名称 |
位置 |
二つ巴 |
中央 |
巻物 |
中央の交差しているもの |
蛇の目(じゃのめ) |
中央の円形部分 |
鎌 |
上部分 |
鐶(かん) |
左部分 |
銀杏(いちょう) |
下部分の2つでているもの |
鍬形(くわがた) |
右部分 |
以上のものに分類する事が出来ると思います。
これらの意味を一つ一つ考えていきましょう。
神秘・・・二つ巴
巴(ともえ=鞆絵)は元々、弓を引くときに腕を防護する武具であるとされます。
いつしか、巴はその形から渦巻きを意味するものとなり、この形に神秘性を見いだし、
神紋としてよく使われる様になりました。
呪・・・巻物
この巻物は元来は筒であったとされる。この筒をクロスさせた事で呪符としての意味合いを持たせた。なぜ、筒から巻物に変わったかは定かではない。
祇園神はもともと疫病の神であり、これを象徴したものがクロスした筒ではないだろうか。また、クロスさせた由来にはキリシタン大名やその家来がクルス紋を象ったともされるが確かではない。
力強さ・・・蛇の目
蛇の目はその形から呼ばれているものであり、元々は弓の弦を巻き付ける道具(弦巻・つるまき)とされています。紋様としては二重丸の中心を塗りつぶした図形(または二重丸)で、とてもシンプルで力強い形として古くから使われて来ました。
五穀豊穣・・・鎌
農具としての鎌を象ったもので、農業信仰として鎌自体が神格化され五穀豊穣などを願うシンボルとなりました。
祝い・・・鐶
たんすの引き手を象ったもの。
木瓜紋(もっこうもん)の外枠から変化したものでもあり、木瓜紋の由来より、子孫繁栄やおめでたい事を意味するものです。
※木瓜紋 : 神社の御簾(みす)の帽額(もこう)によく使われていたので帽額が変化し木瓜と当て字を使われるようになりましたが、本来は?紋(かもん:木の上の鳥の巣に対して地上の鳥の巣を表現したもの)です。
木瓜紋は御簾の帽額から転じたものであり、おめでたいものであるとされており、また鳥の巣は子孫繁栄を意味しています。
長寿・子孫繁栄・・・銀杏
銀杏の木は、古くから御神木として祭られる事も多く、長寿やぎんなんの実がたくさん成る事から子孫繁栄のシンボルになっていました。 守りの象徴・・・鍬形
兜の額の所に
左右に並んだ一対の角状の金属の立物(たてもの)の飾りを象ったもので、武将の象徴です。
兜は守りの武具でありますから、災いから身を守るという意味合いがあります。
以上、三区で使われている紋を難しく考えてみましたが、要は祇園守と二つ巴のバリエーションである事は確かであると思います。
上記内容では自分自身腑に落ちないところもあり、己の不勉強さを痛感するばかりです。
まだまだ不勉強でありますので、新たな情報が得られた場合は内容の変更や書き直しがある事をあらかじめご了承下さい。(2008.06.12)
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