大蛇山は龍なのか?それとも大蛇なのか?
「大蛇山は大蛇っていってるけど、龍みたいだね。で、龍なの?大蛇なの?どっち?」
と聞かれる事が
たまにある。
うまく説明するのが難しいので、ここでまとめておく事にする。
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最初に、ここでの表現でイメージするものとして、文字が表す容姿について定義しておく。
「龍」
角は鹿、頭は駱駝、眼は鬼(幽霊)あるいは兎、体は大蛇、腹は蜃、背中の鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛にそれぞれ似る
「大蛇」
現実には実在しない程大きな、蛇
「オロチ」
8 つの頭と 8 本の尾を持ち、目はホオズキのように真っ赤で、背中には苔や木が生え、腹は血でただれ、 8 つの谷、 8 つの峰にまたがるほど巨大な怪物
「ナーガ」
頭頂に 5 匹の蛇を飾る人間で、下半身は蛇(インドコブラ)という姿
情報が溢れる21世紀に生きる現代の私たちにとって、イメージする伝説上の生き物の容姿とは、定義したのとほぼ同じではなかろうか。
では、現代ほど情報がネットワーク化されておらず、一部の知識人や伝承のみでしか情報が共有されていない、いわゆる「昔」の人達はどんな想像をしていたのだろうか。
中国の文化を知る人は龍を想像し、またインドの文化をしる人はナーガを想像し、日本神話を知る人はオロチを想像したかもしれない。
それとは逆に、日本昔話に出てくる生き物を見せて、「これはなんという生き物か?」と問いかけると、
ある人は龍といい、ある人は大蛇といい、ある人はオロチといい、ある人は水の神様と答えるかもしれない。
つまり、実在しない伝説上の生き物であるかぎり、その姿を決めつける事は出来ず、人それぞれの想像力にまかせるしかなかったのである。
(実際、水神として蛇を神格化したものを具現化した絵や彫刻など、多数存在するが、いくつかのパターンに分類はできるものの、その表現方法は様々である。)
ここで、タイトルの龍か大蛇か?の論点に戻る。
大蛇山はをなぜ大蛇山というかはまた別の機会に検証するとして、実体は祇園の神、ひいては水の神様であり、その姿は現代人が想像する龍そのものである。
そして「大蛇山は龍ですか?大蛇ですか?」と質問された際の答えとしては、
「我々は大蛇と呼称するが、その容姿は現在の龍とよばれるものに近い似姿をしている。
しかし、大蛇であるか龍であるかについて結論づける事はないし、龍といわれても否定もしない。
ただ我々が大蛇山と呼んで、現在も作っているものこそが、大蛇山である。としかいう他ない。」
もっと簡略化すると
「大蛇山は大蛇山だよ」
と答えるのであろうか。
2011年7月8日考察
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